
空き家相談士が語る"空き家対策のツボ"

人口減少や高齢化といった社会課題が進む中で、首都圏でも空き家問題は大きなテーマになっています。全国一律でとらえられがちな空き家事情とは異なった首都圏特有の傾向があり、それを考慮した対策を考える必要があります。
首都圏の空き家は活用してこそ資産価値を生む
「特定空き家等」指定をどう回避するかといった空き家対策のアプローチでは、首都圏の空き家が持っている資産価値を十分に生かしきれません。
東京の空き家総数は約82万戸(平成25年)といわれていますが、「腐朽・破損なし」の空き家は約66万戸と活用可能な空き家が多い特徴があります。
一戸建ては比較的"高級住宅地"にある傾向ですので、節税対策の観点からの資産管理アプローチがメリットを得やすい場合があります。また、賃貸用共同住宅の場合は、さまざまなライフスタイルが共存する首都圏ならではのアプローチも有効です。
"どう処分するか"ではなく、"どう活用するか"といった視点の対策を考えたほうがいいでしょう。
首都圏空き家はビジネス需要に商機あり
"空き家管理"の重要性について述べられている空き家対策の指南書を多く目にします。首都圏での空き家管理は一般的な管理とは全く別物として考えることをおすすめします。"管理"という言葉は同じですが、利活用するのための管理が不動産価値を高めることにつながります。
特に、ビジネスの機能が充実している首都圏では、空き家を商業施設として活用するニーズが旺盛です。空き家の状況にもよりますが、商業施設への立て替えによる一棟貸し、リフォームによる店舗併用型の賃貸物件への転用......などの対策から、募集活動や入居審査などといった管理までをトータルでサポートしてくれる専門業者に委託することで、お持ちの空き家を"有効な資産"として生まれ変わらせるチャンスがあります。
首都圏でも重要。相場感にあわせたエリア対策
首都圏空き家事情にはエリアの特徴が大きく反映しています。一戸建ての空き家は大田区、江戸川区で増える傾向にありますし、投資ブームも手伝って減少傾向にある共同住宅系の空き家ですが、世田谷区では大幅に増えています。
都心部では再開発を見据えた価格上昇が続いていますが、富裕層や海外投資家からの引き合いが強まっているエリアもあれば、一般投資家が注目する周辺エリアなどもあり、多重的な市場になっています。空き家の立地条件とどのような資産管理をするかを考えながら、細やかな対策が求められます。
首都圏空き家資産化は"いつ売るか"と"どう売るか"のアプローチ
首都圏の中古物件にはフォローの風が吹いています。好循環が期待できる首都圏の空き家事情ですが、いつまでもこの状況が続く訳ではありません。住宅の供給増による競争激化とそれによって生まれる価格競争を懸念する予想も出されていますので、タイミングを外すと思わぬリスクを負うことも考えられます。好循環が続いている今であれば、多方面からのリスクを考慮した有利な条件での活用を選択できる環境にあります。
空き家を現金化して他の資産に転換していくという活用アプローチを考える場合は、売り時期は今がベストです。その際、共同住宅は"いつ売るか"で考え、一戸建ては、資産運用や節税対策の観点から"どう売るか"で考えることをおすすめします。