
全国一律の対策は通用しない東京空き家事情
空き家対策とひと口に言っても、戸建てもあれば、マンションやアパートなどもあり、さらにはそれが自宅用であったり、賃貸用であったりとその種類は様々です。
「特定空き家等」にフォーカスした対策が注目をされていますが、全国的に増加しているのは、放置されたままの状態にある「一戸建て」の空き家です。
首都圏に目を転じた場合、一般的に論じられている「空き家対策」では、その不動産価値を十分生かしきれない可能性があります。首都圏ならではの空き家活用のポイントを押さえておくことで、より多くのメリットを享受することができます。
東京オリンピックの経済効果はどこまで続く?
2020年開催の東京オリンピックを目指して、首都圏の社会インフラは物凄い勢いで進化しています。その経済効果を期待して、国内外の投資家が首都圏の不動産を購入しており、今後1~2年は不動産価格の上昇が予想されています。住宅供給の視点から見ても、選手村用に建築される約5500戸(中央区晴海地区)のマンションが、オリンピック以降は市場に出てきます。それと時期を同じくして、首都圏の世帯数がピークに達し、減少トレンドに入るという予測も出されています。
2020年以降に始まる住宅が供給過剰や世帯減少などの影響で、首都圏の不動産価格が下る可能性もないとはいえません。
様々な視点で考えると、まさに今が、資産家を前提にした活用の好機といえる環境にあるといえます。
首都圏に多い賃貸用物件の空き家
空き家対策法は、地方で増加傾向にある放置されたままの一戸建て空き家を対象とした法律です。それに対して、首都圏で多いのは、マンションやアパート、空きビルなどの賃貸用の物件に空き家が多い傾向にあります。
国の調査によると、都内には約82万戸空き家(13年時点)が確認されています。その空き家のうち、約60万戸は賃貸用であり、区部、市町村部ともに増加傾向にあります。地方と事情が異なるのは、長期不在取り壊し予定の空き家数は減少傾向にあるということです。
しかし、都心部、都区部、周辺都市部などのエリア毎に事情は大きく違ってくるという特有の事情があります。そのため、一般論の空き家対策に頼っていては首都圏にある不動産資産を有効に活用しきれな可能性がありますので注意が必要です。
新築物件の高騰で中古物件が活況
東日本不動産流通機構のデータによると、16年(1月~12月)の首都圏不動産の中古物件成約件数は2年連続で前年を上回り過去最高。しかも、成約物件の平米単価及び価格も4年連続で上昇と活況を呈しています。
日本の不動産流通は新築物件偏重型の市場が続いていましたが、少なくとも首都圏においては住宅に対する意識が変わりつつあると言ってもいいでしょう。
オリンピック開催効果などもあって首都圏への人口流入増加傾向、住むだけではなく商業用途しての空き家活用の可能性、状態の良い物件が多いといった傾向のある首都圏の空き家事情などを考えると、しばらくは首都圏の中古不動産物件は上昇傾向が続いていくものと思われます。
